山神様にお願い
その夜、宣言通りにメールをしてみたのだ。作成中、ちょっと指が震えた。だけど色々考えて、オーナーが店に来て話を聞いたこと、皆のその反応、自分が思ったことなどをゆっくりと打つ。
お元気ですか?その文字に、他人行儀かな?とかまで考えて、中々送信ボタンが押せなかった。
「もう、さっさとやっちゃうのよ!」
自分に叱咤激励して、ようやく送信ボタンを押した。返信がくるかは判らなかった。だけど、これだけはちゃんと返信して欲しいなあ~、そう思っていた。
山神様、お願いします。私・・・私は、彼の状態が知りたいんですって。心の中で店の奥の壁の飾りを思い浮かべてお祈りまでした。
すると30分くらい経ってから、テーブルの上のケータイが振動して着信を告げる。
お風呂上りで髪をタオルで拭いていた私は、テーブルまですっ飛んで行った。
もどかしくケータイを開けると、そこには夕波店長の文字が。
つい、頬が緩んでしまったのを自分で感じた。
メールをしたら、電話がかかってきた!そう思って。ちょっと心が弾んだのを自覚した。
通話ボタンを押して耳に電話を押し付ける。
「はい、もしもし?」
『―――――――――もしもーし、シカ?』