山神様にお願い
すると、苦笑したツルさんが言った。閉店まで待って、って。
で、やっときた閉店だ。私は営業中、ずっとうずうずしていたのだった。
「結局本当はどうだったんですか?」
この店で、やたらと店長が恐れられる理由は何なのよ?私はビールがまわりつつあった頭を好奇心で満たして聞く。
「龍さん、自分で話す?」
ツルさんが意地悪そうな顔をした。カウンターの中で、龍さんが首を横に振る。じゃあ、私が、そう言ってツルさんが話しだした。
「タカさんと龍さんで、かなりあの日はふざけてたのよ。トラさんが開店時間に入らない日で、私がバイトに来た6時の時点でまだ開いてなかった。何と二人はトランプをして遊んでたの!しかも、お金を賭けて」
私はあんぐりと口を開けて龍さんを見る。彼は私の視線を完全に無視してビールを呷っていた。
「お・・お金賭けて?トランプ?・・・ええっ!?」
「そりゃあダメですよ。一瞬で首っすね、普通は」
私とウマ君で口々にそういう。そりゃ龍さん自分で言えないはずだわ。普通の神経もっていたら、そんな恥かしいこと過去の事、到底言えないだろう。
私達の反応を見てツルさんが重々しく頷く。
「早く店開けなきゃって何度も言ったけど、もうちょっと待てってそればかり。どうせ水曜日で客も来ないよって、トラも遅いから大丈夫だって、そう言って遊んでたの」
ツルさんは思い出したらしく、顔つきが険しくなった。
ウマ君もツルさんの隣に座って食い入るように聞いている。そこまで詳しく聞いたことはなかったのだろうな、と思った。