山神様にお願い


「で?店長が来るまでそうやってたんですか?」

 うん、と頷いて、ツルさんはポテトチップスの袋を開ける。

「これ食べてね。今日バイト先で貰ったから。―――――――ええと、それでね、そうそう、それで、結局トラさんは予定より早めに来たのよ。それで、表が開いてないのに気付いて、無表情で裏から入ってきたの」

 ――――――――何か理由があって、表を閉めたままなのか?従業員が3人いてオープンしてない理由って、何?

「トラさんがいきなり入ってきたから皆ビックリしたけど、タカさんと龍さんはへらへら笑ってた。まだ山神がオープンしたてで、26歳のトラさんを見くびっていたのだと思うわ。上司だと思ってなかったんじゃないかな」

 私とウマ君で揃って龍さんを見る。何と、龍さんはカウンターの中にしゃがみ込んで視線から逃れていた。

「あ、隠れてる」

「格好悪いですよ~、龍さ~ん」

 ツルさんがふん、と鼻で笑って、話を続けた。

「で、私もいい加減ムカついていたから、全部喋ったの。この人たち、トランプして遊んでるんですって。店開かないなら私は帰ってもいいですか?って。そしたらトラさんが二人に聞いたの。そうなんですか?って」

 ――――――――ツルが言ってるのは本当ですか?

 ――――――――怒るなよ、虎。悪かったよ。今から開けるからさ。

 ――――――――大丈夫だよ、今日は暇だって。給料かけてもいいけどさ。


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