山神様にお願い
龍さんも椅子に座りながら、ぽりぽりと額を掻いて話し出した。
「・・・俺は試合には慣れてる。だけど、あいつは、虎は、喧嘩慣れしてるんだと思うな」
「喧嘩慣れ?」
ツルさんとウマ君がハモった。
「そう。つまり、俺は自分が用意してからだと構えるし、相手の動きもよく見る。試合で相手を叩き潰すのは慣れてた。だけど、それにはルールがあるだろ?でも虎は違ったんだ。いきなり、表情も変えずに手を出すんだ。相手の準備とか一切関係ない。それに、あるものを何でも使うんだな」
あの時は確か、ツルから聞いたことを俺達に確認して、立っていたその場からいきなり攻撃した。
他は動かずに片足だけをそばの椅子に引っ掛けて俺達に飛ばしたんだ。勿論、こっちはそんなこと思ってないから避ける暇もなかった。椅子が俺と鷹にぶつかって、痛ぇ!って思ってる内に、虎が目の前にいた。それで、これでカーンだよ。
「これ?どれ?」
ツルさんが言うと、龍さんは自分が右手に持っていたものを高く上げた。
それは、メニューが挟んである木製のメニュー立てだった。
「え、メニュー立ててるやつですか?」
「そう」
「それをどう使うんですか?頭?」
「いや、首の後ろを強打だな」