山神様にお願い


 いやいやいやいやいや!そんな悠長に私を確かめないで下さい!それにここ、外ですから!そーと!!

「だっダメです!だーめーですっ!!」

 彼が呼吸する隙にやっと離した顔を背けて、私は何とかぐいぐいと腕を突っ張って距離を開けようと奮闘する。

 それにも全くめげずに、店長の右手は私のスカートに侵入を試みようとしていた。めくり上げられたスカートから露出した太ももが風に触れてひんやりとする。

 もう、もう!!何なのよこの野獣~!!

「いいじゃん、誰も見てないよ」

「そういう問題じゃあないんですっ!嫌いになりますよ、もう!」

 そう叫んだら、腕の力が緩んだのが判った。そして私の右胸からも彼の手が抜かれる。

「嫌いになる?それは大変~」

 あくまでも軽い店長の声が聞こえた。

 ・・・・・・・ああ・・・良かった・・・・。ここでぐでんぐでんになってしまうとこだった・・・。

 足から力が抜けてしまって、私はずるずるとその場にしゃがみこむ。

「あら、大丈夫、シカ?」

 平然とそういう店長が目の前で首を傾げている。

 ・・・・そうだった、結構大変だったんだ。

 今更、そう思い出した私だった。


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