山神様にお願い


 くくく、小さく店長が笑う。

「それは嬉しい本気だな。苦しくて切ない、本気の恋へようこそ」

 ようやく涙が止まった私の目には、その彼の、満足げな笑顔が映っていた。



 店長は平然と、私はヨロヨロと、手を繋いで大学の門を出る。

 さっきまで冷たく感じていた風が、今は火照った頬に気持ちよかった。

「さて」

 夕波店長がスタスタと歩きながら言う。風が彼の前髪を揺らしていた。

「ラブホ行こうぜー。シカの部屋でもいいけど、激しくてやらしーいこと山ほどしたいから、ホテルのがいいな~」

 ゴホゴホゴホっ!!私は隣で咳き込んで、その苦しさに涙目になった。

「はははは、はいっ!?」

「だってシカの部屋って壁薄いから、あんまり声もあげれないでしょ~。別に俺は構わないけどさ」

 ・・・・待って待って待って。いやいやいやいやいや・・・・ストレートですよね、店長って。超ストレート・・・・。

「あのー・・・本気で言ってますか、それ?」

 恥かしくて顔を見れない私は、ただ前だけを凝視して聞く。隣で店長が、はははは~と笑った。

「冗談で言ってどうするんだ。冗談の方が良かった?だって、シカだって十分その気でしょ?さっき俺の膝、確かにシカの―――――――――」

「わああああああっ!!言わなくていい!言わなくていいですから~!!」


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