山神様にお願い
バタバタと顔に手で風を送っていたら、横の男性はゲラゲラと笑っている。
「ああ、楽しい!久しぶりだなあ~、思ったより色々長引いてしまって戻るのが遅くなったから、またシカが俺に無関心になってたらどうしようかって思ってたけど、ちゃんとぞっこんになってて良かった」
チラリと店長を見た。
そうだった。卒論が完成した喜びと店長に会えた嬉しさとですっかり抜けていたけれど、私はこの数日、店長が不在だった20日間ほど結構悩んでしんどかったんだった・・・。
どうして戻ってこないの?とか。
実家のゴタゴタって何?とか。
婚約者って誰?とか。
それは結局どうなったの?とか。
聞きたいこともたくさんあるんだった・・・。
激しいキスをされて野外で胸を揉まれてしまって、トロトロの脳内花畑になっている場合ではないのだ!しっかりするのよ、ひばり!
結構ピンクモードになりかけていた自分の頭を叩きたい。そう思いながら歩いていた。
駅に行くのだと思っていたら、店長が途中で角を曲がったから驚いた。
「あれ、どこいくんですか?駅はあっちですよ」
「うん。今日はバイクで来たから。その格好だと寒いかな~」
え、バイク?店長バイク乗ってるんだ!?私は驚いたままで駐輪場へ連れて行かれる。