山神様にお願い
そこには中型の黒いバイクが停めてあって、私は思わず歓声を上げた。
「うわあー!格好いい」
そうか、そういえば今日の店長はいつもの寒そうなパーカー姿でなくて、黒皮のライダーズジャケットを着ている!しかも足元も皮のごついブーツではないか!いつもラフでクタクタの格好をしていることの多い店長には珍しくかっちりした格好だった。
体の線が綺麗で肩幅もあるので、ラフな格好をしていてもだらしなくは見えないのを羨ましく思っていたのだけれど・・・カッチリした格好だと迫力ありますね、何かね・・・。
改めて彼の全身をマジマジと眺めてはそんな事を思っていると、店長が一つヘルメットを寄越す。そしてロックを外しながら言った。
「じゃ、ラブホ決定。今日は店ないし、他に予定もないか?」
「え?あ、はい・・・予定はないですけど、でも、でも」
「でもじゃなくて乗って」
「いえ、あの!」
私は持っていたヘルメットをぎゅうっと掴んだ。そして頑張って勇気を集めて声を出す。
「あの!聞きたいことが沢山あるんです!だから、だから・・・話をしたいんです!」
店長はバイクに跨ってメットを被る。その薄水色のカバーの向こうから、私を見た。
「話?」
「話です!」
「じゃあ、それもホテルで。取り敢えず乗ってくれる?」
「・・・・・ちゃんと話してくれますか?」
「するする、するよー」