山神様にお願い


 聞くんじゃなかった。激しく後悔しながら、私はミネラルウォーターを口にする。

 体内は燃え盛ったあとの静けさで、砂漠みたいになっていたらしい。一口づつの水が染み渡るのがよく判った。

 あ、美味しい・・・。ごくごくと喉を鳴らして水を飲み干す。それを前の席で店長がパンを食べながら見ていた。

「美味しそうに飲むね~」

「美味しいです!喉カラカラでしたから」

「まあ、あれだけ叫べばね~」

 ゴホゴホゴホ。何を喋ってもそっちの方向に持っていこうとするこの人を、どうにかして下さい~!!

 普段山神でお祈りしているようについ手をあわせて心の中で唱える。

 山神様、お願いします!店長の口を塞いでください!って。

 祈りが即行で通じたのか、ただ単にご飯に集中しただけか、それから暫くは店長も黙ってご飯を片付けていた。

 私もよく食べた。やっぱりかなりのカロリー消費ですわ、アレって。

「まだ龍さんにも電話してなかったんだっけ。ちょっと今から、いい?」

 そういえば、と言って店長がケータイ電話を取り出したので、私はご飯を食べながら頷いた。

 先に私に会いに来てくれたんだ、そう思ってバレないように喜んでいた。

 店長は上半身裸のままで大いに寛いだ顔をして、たら~っと龍さんに電話を掛ける。


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