山神様にお願い
「あ、龍さん?久しぶりです。―――――――――まあまあ、そんなに噛み付かないで。皺が増えますよ。あははは。・・・え?・・・あ、ハイ、会いに行きましたよ、大学まで。そうでしょ、俺もビックリ。ははは――――――――」
龍さんは私のことを聞いたらしい。何か、目の前で自分のことを話されると照れるわ・・・と思っていたら、店長が言った言葉にまた咳き込んだ。
「いやいや、そのままホテルですよ。学校内で襲ったら、シカに叱られたもんで移動しました。今、そう。部屋でご飯食べてる。シカに代わりますか?いい?――――――――え?あははは、そうそう、自慢ですよ。龍さんは一人寝でしょ~」
てんちょーうっ!!!そそそそそんな余計なこと言わないでえええええ~!!
彼は私が前で真っ赤になって咳き込んでいるのを、にやにやしながら見ていた。ううう、恥かし過ぎる。どっかに瓶落ちてないかな。あったらそれで一発殴りたいって心境だ・・・。
「今晩から戻りますから。ツルにも電話しときます。はい。留守中、ありがとうございました。――――――――え?」
ふと、店長が真面目な顔になった。
「・・・ああ、それも説明しましたよ、ちゃんと。そうですね、またいずれ。はいはい了解です」
ピ、とボタンを押して電話を切る。
そのまま優しいいつもの笑顔を浮かべて、店長が言った。
「場所がここでなんだけど・・・先に説明しとこうか?」
「え?はい?何・・・ですか?」
私が首を傾げると、ほら、あれ。と店長が指を振った。
「俺が実家で何をしていたか、それと元婚約者の紹介、だな」
心臓がどくんと音を立てた。