山神様にお願い


 ・・・・・ヤクザまで、出てきた。私は内心驚愕したけど、店長にバレないように下をむいて表情を隠した。

 おおおおお、落ち着くのよひばり!だってだって店長には関係ないじゃないの!その、お母さんの親友さんのダンナさんなんだから。心の中で関係を整理するのに少し時間がかかった。


 店長は私の反応を気にしなかったらしい。またすぐ話を続けた。

 片山さんが離婚して、彼のお母さんは大変喜んだらしい。息子が荒れていた時から、いつかその方面に行ってしまったらどうしようと危惧していたらしいから、息子に近い自分の親友が普通の人間に戻ってくれて嬉しかったのだって。

 だけど、そこから店長の婚約話に繋がるのだ。

 その組の相模組長には一人娘がいた。その娘さんは組長が67歳の時に愛人に出来た子供で、組長は溺愛していたらしい。

 子種がないと思っていた自分に、娘が出来たと。

 そして組中での揉め事に、跡継ぎの話が出てこじれたってことだった。

 娘に婿をつけて組を守りたい組長と、有能な№2に運営させて組を継続させたい幹部のものたち。肝心の娘は本妻の子ではなく愛人の子供で、本妻は彼女が組みを継ぐことに反対していた。

 それに娘本人は、一般人になって外へ出て行くつもりだった。好きな人と結婚して、私は自由にやるの!と言っていたらしい。

 困ったのは間に挟まれた副組長だった。高齢で考えも意固地になってきた組長の意見をこのまま通してしまうと組は更に荒れる。本妻も立てたい。若いものに示しのつくような形に何とか出来ないものか。それに対抗する組からの攻撃もあるかもしれないのに、今組の中で争っている場合ではない。

 このままでは組が崩壊する。

 それは避けたいが、肝心のお嬢さんも継ぐ気はない。

 せめて自分の思い通りになると思ったまま組長が亡くなったら――――――――――


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