山神様にお願い


「え!?そ、そそそその組長さん、殺されちゃったんですかっ!?」

 私が思わず叫ぶと、その声に驚いたらしい店長がわあ!と声をあげた。そして胸に手を当てながら、いやいや、と首を振る。

「そんなわけないでしょ。シカが考えてるより極道ものの忠義って凄いものがあるんだよ。まさか、組長を攻撃なんか出来ない。自分の家族も惨殺される覚悟がないと」

「そ、そうなんですか」

 私はつい乗り出してしまっていた体を椅子に戻す。

 家族まで惨殺~!!ここって日本でしょ~!?私の全く知らない世界に、すでに思考はイマイチついていけなかった。

「まあ、ともかく、それで副組長、つまり片山さんの元ダンナさんは、娘に聞いたんだってよ、誰か適当な男はいないかって」

「はあ」

 どこかに適当な男がいたら、その男に頼みごとをしたいんだって。組員や既にヤクザ者になってるヤツではなくて、口が堅くてヤクザの世界を恐れずに、常識など気にしない男はいないですか、と。

「それで、娘は考えた。当時自分の周りでそれなりにグレてて、でもチンピラってほどにはいかなくて、この策略にのってくれそうなヤツは誰だ?ってね。で、それが俺だったってわけ」

「・・・はあ?」

 だから、クラスメートって言ったの?

 店長は以前、俺のいたバカ高校の後輩だって、ヤンキーみたいな例の人たちのことを説明したんだった。

 つまり、周りには勉強に興味のない、ちょっとばかし荒れた高校だった、というわけなんだな。それで娘さんは学校内で条件に合う男を捜した・・・・こういうわけ??


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