山神様にお願い


 私が何とか情報を整理したらしいってのを表情で確認して、店長は続ける。

「組長にこの人と結婚して組を継ぎますって説明するのに、他の一般学校の、クラブ活動や勉強に勤しむ普通の高校生を連れていけないだろ?組の中の下っ端から選べば後々面倒臭いことになるだろうし、ただのヤンキーで母子家庭の俺が都合が良かったんだろうよ」

 私、この人と結婚するの。でもまだ彼は高校生だから、組のしきたりを教えたりするのは卒業してからでいいわよね?それが最低の条件よ、パパ。

 娘は組長に、俺の写真を見せてそう言ったらしい。高校の間は婚約者でいる。卒業したら組に入る。そこから教育してヤクザに育てればいい。それまでは、彼のことは放っておいて。

 組長は驚いて徹底的に俺のことを調べたらしい。すると、中学からしてきた悪いことや副組長の妻が可愛がっている子だと判った。つまり、見込みがあるかもしれないと。うちの組を継げそうな男かもしれないと。

 それは全て、片山さんの元ダンナの仕組んだ通りになったんだ。

 片山も面識があるらしいな、あの坊主、どうなんだ?そう聞かれる。あの子は素質がありますよ、そう言ったと聞いた。組長も気に入りますよって。

 娘が写真を父親の組長に見せる前、娘と片山さんの元ダンナが俺に会いにきて、話を聞いたんだ。組長が亡くなるまで、私の婚約者になって欲しいのって。うちのパパはもうガンが転移している状態よ。長くはもたないわって。だから、案外早く夕波君を解放してあげられるかもしれないわ。勿論お礼はするし、万が一パパが長生きしても、卒業してしまったら私が何とかするから。

 そういわれた。


「・・・で?」

「で―――――――――俺は頷いた」

「ええええええ~っ!?だってだってヤクザですよ!店長!そんな・・・そんな思い通りにいけないかもしれないじゃないですかっ!!」


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