山神様にお願い
まず、カウンターの中から龍さんが叫ぶ。
「シカ!冷めるだろ!さっさと運べよ~!」
って。私は怒られたー!と思いながら、はい!と返事をして、何とか急いで持っていこうとする。すると、ビールをお客さんに出していた店長が通り過ぎ時に私の耳元でこう言う。
「店の中は走っちゃダメー。それで料理落としたらどうすんの?判ってるよね~?」
って!で、私はすみません!と謝って、また歩調を緩める。するとすかさずキッチンから、シカー!!こら、急げ!!って怒声が飛んでくるのだ。
うわああああ~!って一人でなっていた。
・・・・これも、非常に久しぶりだった。まあ若干、いや、かなり迷惑だったけど。
ざっとではあるけど、店長は経緯を説明したらしい。私を見る龍さんの顔にも笑顔があったから、そう思った。
あとは、阪上君なんだけど・・・心の隅でちりちりと音を立てては存在を主張するあの男の子。
どうしたらいいのでしょうか、山神様!
私はちらりと奥の壁を振り返る。
そこに飾られたこの店の守り神、山神様に、仕事中だけど心の中で両手を合わせてお願いした。
山神様。どうか、どうか。
これ以上誰も傷付かないように、阪上君を止めて下さい―――――――――――(いや、私にちょっかいを出さないようにして下さい、それでいいですから)。