山神様にお願い
「え、じゃあお姉ちゃん遠距離恋愛になるの?」
よく考えたら、阪上君と同じ年の私の妹、飛鳥が正月のお雑煮を食べながらそう言った。
私は行儀悪くお箸をかんだままでしばらく固まる。
・・・・遠距離恋愛・・・・うわ~、確かに、そうかも!そう思って。
目の前で固まった私をしみじみと眺め、飛鳥はため息をついた。
妹の飛鳥(あすか)17歳。私と違って母親似のこの子は、アーモンド形の目をしていて細くて柔らかい髪を持っている。暫く会ってなかったけど、去年よりは格段に大人っぽくなった・・・というか、色気が出た妹を見て、実家に戻るなり驚いた私に、飛鳥は長い髪を掻き揚げながら言ったのだ。
あたし、今3人目の彼氏がいるんだ~って!!!
「あんた、ちょっとこっちに来なさい!」
私は鞄を玄関に放り投げてそう言った。
だけど妹を問い詰める前に母と父に捕まって、あれこれと世話をやかれてしまった私だ。
ようやく両親の大量かつちょっとばかり迷惑な愛情表現を受け取って、その晩は家族の大晦日を過ごした。
そして、年が明けた午前中。私は飛鳥と炬燵へ入っていた。
そこで、飛鳥が言ったのだ。
お姉ちゃん、何か色っぽくなったみたい。男、変えたの?って。
私は姉の権限でコンコンと説教をした。男とは、一体なんていい方ですかって。でも妹はぺろっと舌を出して笑い、強引に私から話を引き出したのだ。小泉君から夕波店長に彼氏が変わった経緯を。気がついたら山神のことまでベラベラと話してしまって、私は頭を抱えた。・・・この子ったら、いつの間にそんな話術を。