山神様にお願い


 ツルさんの若い素肌を滴が滑り落ちる。それは夏の太陽を受けてキラキラ光り、ツルさんのパーフェクトボディーを輝かせている。・・・うーん。本当に綺麗な体型だよな、この人。見惚れるようだけど、やっぱりじっと見ることは失礼になるよな。うん、やばいよな。

 瞼の裏に彼女を思い浮かべる。大学に入ってから短期間所属したサークルが一緒で好きになった女の子。彼女の茶色の長い髪、それから好きなラベンダーのお香、それから柔らかい声も肌も・・・。

「ウマ君は彼女とうまくいってるの?」

 ツルさんの声が聞こえて、ハッとした。

 海での運動と素晴らしいランチボックスのあとでタバコを吸っていて、波の音を聞いていたら夢見ごちだった。

 俺はえ?とツルさんを振り返る。ツルさんはせっせと日焼け止めを腕にぬりこめながら繰り返した。

「ウマ君は彼女とうまくいってるの?って聞いたの。大学生の彼女、もう長いんだったよね?」

「あ、はい。大丈夫です。うまくいってます」

 タバコの煙がツルさんにかからないように俺は反対側へ移動する。それからちょっとの時間だけど、久しぶりに色んなことを話した。彼女と二人でいった場所、話したこと、大学での事件やゼミ生と喧嘩したことなんかを。

 ツルさんは話を聞くのが上手で、ついベラベラと喋ってしまうのだ。トラさんがよく言っている、「ツルには接客のセンスがある」っていうのは、きっとこういう事なんだろうな。

 ツルさんはニコニコして聞いていたけれど、海の家の壁にかけられた時計を見上げて、あら、と言った。

「話してる途中で悪いけどさ、ウマ君。そろそろ戻ってトラさん達の様子を見てきてくれない?」


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