山神様にお願い
彼女はまだ困り果てたような顔をしていたけど、その内に頷いた。
「報酬はどうしたらいい?お金がいいよね?それとも何か出来ることで─────」
俺は欠伸を噛み殺しながら首を振った。腹が満たされて眠気がやってきていた。
「いらねー。別に、金が欲しいんじゃないし」
そりゃくれるというなら貰うけど。でも実際のところ、その時の俺は金に興味がなかった。アルバイトで稼いでもいたし、どうしてもってことになったら他からちょろまかすことだって出来たからだ。人助けをして金を貰うなんて、何かこっぱずかしい、そうも思っていた。
橋本がますます困った顔をした。
「要らないって・・・それ困るんだけど」
「何で?だって用心棒とか試験を代わりに受けろとかじゃないんでしょ。なら別にいいよ。暇な時間に付き合うくらい」
「でも・・・どうしてオッケーなの?」
どうしても理由がいるみたいだった。何なんだよ、俺はちょっと面倒臭くなって仕方なく考えて、食べきった皿の数々を指差す。
「これの、礼だから。ごっそーさん」
喫茶店に、片山さんの笑い声が響いていた。