山神様にお願い
橋本も俺とは違う町へと出て大学を卒業し、中学校で美術の教師をしているそうだ。全然違う時間を生きていて、久しぶりに顔を見た時、もう家族のような感覚で懐かしさを覚えた。
だから俺は苦笑して言ったのだ。
「婚約、解消しよーぜ。ちゃんと。やっぱりお前は妹だよ」
すっきりとした格好で清楚な美人になっていた橋本は、しばらく俺をじっと見たあと、にやりと笑って手を叩
いた。
「やったー!全面的に賛成よ!私もそろそろちゃんとしなきゃって考えてたの」
口を開けば、昔からのチャキチャキした女だった。中身は変わってないらしい。
「好きな男がいるんだろ?」
「好きな女性が出来たのね?」
同時に聞いて、一緒に笑った。まずはビールで乾杯。それからそれぞれ着替えて、ガラクタの山との格闘を開始したのだ。
で、3日目。
ほとんど寝てなくて、俺はぼーっと転がっていた。
ひっくり返しているせいで埃っぽい家の中に、日が差し込んでいる。それを見るともなしに見ながら、思い浮かべるのはシカばかり。
リュウさんが店でバカ共相手に暴れたあと、泣きながら電話してきたシカを、戻ってから俺は抱いてしまったのだった。・・・えーと、かなり強引に。それは認める。だって寝起きで目の前に好きな女だぜ。逃げなかったし。仕方ないでしょ、これは。