山神様にお願い


 そしてするすると後ろに下がって、部屋を横切り自分の机の椅子に座る。

 ほお~・・・。私は思わずため息をはいて、力を抜いた。その拍子にバットが音を立てて床に落ちる。

「――――――――センセーに辞められちゃ嫌だから、諦めるよ」

「・・・そ、それは良かったわ」

 何とかそれだけ答えた。漫画みたいに口から心臓が出そうな勢いだ。すると阪上君は、微笑ではなく少年らしい大きな笑顔でにっこりと笑った。

「今回は、ね」

「・・・いえ、未来永劫諦めて下さい。私、高校生に興味はないですから」

 大体未成年に手を出したら同意の下でも犯罪だよ!一瞬で緊張して疲れた私は椅子に座り込む。

 ・・・ああ、マジでびびった。

「高校生では興味なし?ふーん・・・なら、僕が大学生になったらいいわけ?」

「は?」

「なるけどさ、大学生にはね。あ、そうだそれ言おうと思ってたんだ。僕、センセーの大学のオープンスクール行くから」

「・・・・はああ?」

 私は素っ頓狂な声を上げた。逃げていたのも忘れて思わず境界線まで進む。え、だってだって――――――――

「だってまだ高2じゃない!」

「だから何?高2でもオープンキャンパスは行くんだよ、センセー」






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