山神様にお願い


「そ、そうなんだ」

 へえ!私はちょっと考える。阪上君がうちの大学に?だってそれって勿体無くない?確かに偏差値的には狙うゾーンに入ってるかもだけど、でも―――――――

「・・・何を専攻したいの?」
 
 私は怪訝な顔をしていたらしい。彼は、いつものように企んだにやり顔をした。

「ナイショ」

「え?」

 どうしてよ。私は彼を睨みつける。では何だって話を振ったのだ。情報が欲しいとか、そんなのだと思ってたけど。

 阪上君は椅子をくるくると回して自分も回転する。しばらくそれを続けておいて、話し出した。

「内緒だよ。だってセンセーどうせ僕が受験までいないんでしょ?だったら僕も言わないよ。ただ、大学で僕をみつけて絶叫しないように、言っておこうと思っただけだから」

「・・・」

 憮然として椅子で遊ぶ生徒を見詰める。オープンキャンパス?でもでも―――――

「・・・私はほとんど大学に居ないし、夏休みだからゼミもない。行かないから会わないわよ」

 だって、オープンキャンパスは高校生の夏休みを利用して行われるし。私の言葉に阪上君は笑った。


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