山神様にお願い


「・・・」

「ほらね、単純なんだよ、センセーは。彼氏の就活は本人の問題なんだから放っておけばいいのに、神仏に祈るタイプ。そんなことしたって結果は変わらないよ」

「うるさいわね!」

 このクソガキー!!私はくるりと後ろを向いて、耳を塞ぐ。鞄もお腹に抱えて、阪上君が諦めて机に向かうまでその姿勢を崩さなかった。

 ・・・神仏に祈ったって、無駄。

 それはそうかも知れないけど。結局は、本人の努力と運次第なのもわかってるけど・・・。でも、やっぱり。

 手を離した耳に入るのは、阪上君がシャーペンを動かす音。私は自分の膝の上に置いた手をじっと見詰める。

 わかってるけど・・・・それでもやっぱり、祈らずにはいられない。

 彼に、笑顔が戻りますようにって。




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