山神様にお願い


 次の日は休みだった。山神に出るのは私以外の全員てこと。

 私はこの日もぼーっとしていて、ほとんど何もしなかった。淡々と朝ご飯を食べ、掃除をし、昼ごはんを食べ、クッションを抱えて寝転び、天井を見たり雑誌をめくったりしていて、夕方になってからダラダラと洗濯をしにコインランドリーまで行ったりした。

 誰とも話さなかった一日は、最近では珍しいなあ~・・・そう思いながら、ぐるんぐるんと回る乾燥機を見ていた。

 山神で働き出してからは、色んな人と会話するから。

 家庭教師と山神で、仕事の入ってない日は週に一日あるかないかだ。

 家庭教師、の単語でまたため息が出た。

 ・・・阪上君、どうしようかなあ~・・・。

 ほとんど反応はなかったけど、私は彼の真剣な顔を、泣きそうな、どうしたらいいのか判らないっていうような顔を初めて見てしまったのだ。

 あの時彼は、少年ではなかった。そんな風には思えなかった。私は自分のことに必死で見えないふりをしていたけど。

 あれは、告白に当たる・・・と、思うし。次は月曜日に家庭教師の日だけど・・・行かないべきだろうか。

 うううーん・・・。違う意味でこれも困ったな~。うだうだと考えてはぐるぐる回る乾燥機を凝視していた。

 回転する洗濯物に回答が書いてないかと探すほどに真剣に。

 すると、ポケットの中でケータイが振動するのに気がついた。


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