山神様にお願い


 何だ?と思って気だるく引っ張り出すと、そこには2ヶ月ほど会っていない大学の女友達の名前が。

「あら」

 ぴ、とボタンを押す。

「はーい?眞子、久しぶり~」

 コインランドリーのテーブルにだら~っと凭れながらそう言う。すると、相手は結構な剣幕で喋りだした。

『久しぶり~!!・・・じゃあないのよ~!ちょっとちょっと、ひばり達別れたって本当なの!?』

 うお、凄い声・・・・。声量も、高さも。私は若干痛くなった耳からケータイを離して、とりあえず返事をした。

「ああ、そう。昨日振られたの。どうして知ってるの?」

 昨日から、大学の友達には誰にも会ってないのに。そう思って聞くと、友達の友達のその彼氏から聞いた、という驚きの連絡網を披露された。

 ・・・わお。皆、いつの間にそんなライン構築を・・・。

『いや、はじめはあんたが高校生に図書館で抱きつかれてたよ~って話だったのよ。それで、え、何それ!?って盛り上がったあとに、小泉がひばりと別れたって言ってたってメールが来てさあ!』

 くらくらくら~・・・。

 テーブルに額を引っ付けて凹んだ。・・・図書館で高校生に。ああ・・・やっぱり見られてたのね、そう思って。

 それに破局話がメールで飛んでいるってのにも恐ろしさを感じた。私の知らないところで、きっとたっぷり酒の肴になったことでしょう・・・。ううう。


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