俺ら参上ッッ!!


――あれから一時間


「ふぅ…」


席は満席。
月島さんの予想通り、繁盛していた。

忙しくて目が回るー


「ひかりー次行くよ!」

「は、はい…」


美沙はまだ元気そう。

よく体力持つなぁ…
私も頑張らなくちゃ

また気合いを入れて、仕事へ戻った。


「お帰りなさいませ、ご主人様!」


疲れのせいか、少し声が上ずった。

あぁやばい!!
頑張れ私!


「ひかり!
これ四番テーブルに持って行って!」

「はーい!」


自分の身体にムチをうって、四番テーブルへ向かう。


「お待たせしました。
こちらコーヒーと…」


テーブルにコーヒーを置こうとした時、身体が揺れた。

うあっ…
倒れる…!

そう思った時、誰かに抱きとめられた。


「ひかり、大丈夫か!?」

「あ…」


目を開けると、心配そうな顔で恋ーが私を見ていた。

恋ーが助けてくれたんだ…


「ありがとう…恋ー」

「いや、いんだよ。
あんまり無理すんな、ひかり」


優しい笑顔で私にそう言ってくれた。


「ごめんなさい、心配かけて」

「ひかりの様子おかしいから見てたら、まさか倒れると思わなかったよ」


仕事しながらも私を気遣ってくれてたんだ…

恋ーの優しさに改めて嬉しくなった。


「さ、頑張れ!
あと少しで休憩だから!」

「うん!」


私は気を取り直して、接客へ戻った。

ありがとう…恋ー

心の中でもう一度恋ーにお礼をした。


「メイドさーん!
オーダーお願い!」

「はーい!
今行きます!!」


休憩まであと一時間。
頑張ろ!










-休憩時間-


「やっと一段落〜!」

「お疲れ様、ひかり!」


ピークを過ぎて、やっと休憩時間になった。
休憩時間は一時間しかない。

身体休ませないと…

ふぅと一息ついた。


「お疲れ様ですお嬢様ってか?」

「え?」


顔を上げると、コーヒーを持った恋ーが立っていた。


「ふふ…
ありがとうございます、ご主人様…なんてね?」


恋ーの真似をしてみた。
そしたら、恋一は少し驚いたように照れた。


「うわっ、不意打ち…//
こりゃー客が絶えないワケだ…」


何かを考えこむ恋一。

ん?
どうしたんだろう?


「あ、とりあえずお疲れさん!」

「ありがとう恋一!」


恋一のコーヒーを受けとる。
…だけど何かおかしい。


「ん?
どーしたんだ?ひかり」

「な、なんか違う気が…」


私の想像しているコーヒーとは全然違った。
色は茶色にピンク色が混じった…なんとも言えない色。
匂いはコーヒーの匂い。

おかしいな…


「あ、それオレ特製のコーヒー!」


満面の笑みで言う恋一。
恋一が持っているコーヒーも同じ色をしていた。

な、なんか嫌な予感しかしないのは私だけ…?


「これ、何入れたの…??」


恐る恐る聞いてみた。


「よくぞ聞いてくれました!
実はさ、微糖のコーヒーにミルクと、角砂糖5個と、イチゴミルクにー、それからー」


嫌な予感的中。

あ、頭回る…


「生クリームに乾燥イチゴ削って入れた!
どうだ!うまそーだろ?」

「あはは…」


なんとも言えない…
絶対甘い…
飲みたくないけど…

曇りが1つもない笑顔で言われたら、飲まないわけにもいかない。
私は恐る恐るカップに口をつけた。


ゴクッ


「!!?」

「ひかり飲むな!
……遅かったか」


玖白の忠告むなしく、私は飲んだ。

な、何この味…
いろんな味が混じって…おいしく…ない





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