二重人格神様~金と碧の王~
少し暗い顔をした。その顔を見ると胸が痛む。だって、グレンさんは昔から、裏として生きてきたから…慣れているとか、言って欲しくない。
「グレンさん、わたしは」
「取りあえず、一度…海鈴に戻ってみる」
私の言葉を遮り、グレンさんは続けた。
「この世界には海鈴が王として必要だ。俺はただ、海鈴の一部分にしか過ぎない。存在価値は…あいつの方がある。裏は裏らしく、しばらく大人しくする。俺も最近、こっちに出ていて、疲れていた所だったからな」
肩をあげ、苦笑いをするグレンさん。裏は裏らしく…どうして、グレンさんもグレンくんもそんな事を言うの?裏でも、グレンさんだよ。
裏とか表とか関係ない。グレンさん、なのに…なんで、みんなそんな事を言うの?
「なんだよ、その不満そうな顔」
私の表情から察したのだろうか。グレンさんはそう言い、髪の毛に触れる。
クルクルと撫でまわし、そっと髪にキスを落とす。
「お前の言いたいことは分かっている。だけど、表がきちんと維持してなければ、裏も時期に維持できなくなるんだ。仕方がないことなんだよ。だけどな…俺は、裏として存在していなかったら、いのりとも出会えなかった。そういう意味では、よかった」
「そんな…永遠の別れみたいな事…言わないでください…」
「…それも、そうだな」
髪から手を離し、グレンさんは背をむけベッドに横になる。その背中を茫然と見つめていると、彼は言った。
「本当は…海鈴に戻ろうと思えば、すぐにでも戻れるんだ。だけど、それをしなかった。いのりといる時間が…不思議と、落ち着くからだ」
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