二重人格神様~金と碧の王~
「それは…いいんです。もう」
「…そうか」
そう、言ったときだった。
その場でルーテルさんには付いて行かなかった老人は身体を小刻みに震わせ、グレンさんをにらむ。
「わしは…許しません…ルーテル様こそが、海鈴様の花嫁にふさわしいのじゃ…人間など…あってはならない…貴様のせいだ…貴様が、海鈴様の中に存在するからいけないのだ!!貴様など、消えてしまえ!!!」
「…え?…あ」
ドスの効いた声で叫び、老人はおもむろに剣を広いグレンさんに向って走った。
あぶない!そんな事を考える余裕もないほどの速さ。
まるで、周囲がスローモーションのように通りすぎていくのがよくわかる。
どうしよう…。鋭くどがった剣の先端がグレンさんに突き刺さる光景がよぎり、血の気が引いた。
助けなくちゃ。グレンさんのこと!
「あぶない!!」
頭の中で、いろんな事を考えた。でも、そんな考えより早く私の体が動きグレンさんの前に出る。
握られた手を振り払い、胸板を力いっぱい押すのと、ほぼ同時だった。
「…あっ」
チクリと腹部に小さな針がささったような痛みが走る。見るのが恐かった。起こってしまっている事を考えると手が振るえ、息を飲み込んだ。
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