二重人格神様~金と碧の王~
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「いの…り?」
いのりが意識を失ったあと、グレンはそのかわり果てた姿に心底驚いていた。
身体を支えたまま、その姿をながめ色々な考えをめぐらせる。
なぜ、このような姿になったのか。傷はどうなったのか…あの光はなんだったのか。
混乱するばかりで何もしないグレンに老人は顔を青くさせ、振るえる手を握った。
「ど、どういう事じゃ…お、女の髪が変化するだと?そんな事…人間の分際であるわけがない…なぜじゃ…傷も…ないじゃ…と?」
突き刺さっていた剣も彼女の身体にはなく、床に一滴の血の跡もない。頭を抱え、老人は目を見開いたままうつむく。
その姿をグレンが見上げると、何かを思いついたように顔をあげる。
「いや、待て…その髪と、その雰囲気どこかで見た覚えがある…傍観者さまと同じ…それに…過去もあの男は、この女を…そうだ、もしや…その人間は、はんっ」
「それより先は、言葉を慎め」
どこから聞こえる存在感のある声。その声に老人は背筋が凍りつく。
息をのんだ様子で振り向くと、伸びてきた手が老人の頭部を押さえつけ、そのまま床におしつけた。
「がっ、はっ!」
すばやい動きに、老人は手も足も、その場で動かなくなる。意識を失ったのだろう。
「…」
その様子を見ていたグレンは、素早く視線を上へもちあげ、老人を押さえつけた者を見て酷く驚いた顔をする。
「え…お前…じ、じじい?」
どういうことだ。じじいとは以前、グレンがいのりに話した男のこと。
裏である自分によくしてくれた…と。
幼い頃に姿をくらませた事だったが、なぜ、今、目の前にいるのだ。動揺するグレンに男は昔を懐かしむように頭をさげた。
「お久しぶりです…グレン様。とても、大きく成長なさいましたね」
「え、いや…なんで…ここに…?」
「それは…その…」
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