二重人格神様~金と碧の王~

あの時とは、グレンとシャカが対面し、いのりのことを話した事だ。

いのりを必要以上に加護するシャカはグレンの記憶によく焼き付いている。

「お前は、約束を破った。それも、もっとも最悪な状態で」

「…っ」

「そんなお前に、もう…いのりは渡せない。返してもらうよ」

そう言うと、パチンとシャカが指を鳴らす。同時にグレンの腕からいのりが浮き上がり、その身体をシャカが丁寧に抱く。


「なっ…いのりを返せ!!」


「そうは、いかない」

伸ばされた手はシャカには届かない。いのりを抱いたシャカの身体はだんだんと薄れていき、グレンの手が触れられないからだ。


焦った顔のグレン。そんな顔はとても珍しい。


悔しそうに唇を噛みしめ、敵意をむき出すグレンにシャカは睨み告げた。


「グレン、この際だ…耳に入れておけ。いのりは私の娘だ」


「…え?」


「最愛の娘を傷付けたお前を、わたしは許さない。失望したよ…そんなお前にいのりを守る事も愛する事もさせない…二度と…会わせる事もないだろう…恨むなら、その愚かさを恨め」


そう言い、シャカはいのりを抱いたまま、姿を消した。


グレンは口を開かない。その消えた場所を見つめ、そのまま頭を抱えた。


「むす…め…だって…?」


どういう事だ。また、疑問が出来た。娘と言われグレンは納得したような、出来ないような気分。


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