二重人格神様~金と碧の王~
会いたかった。その声を聞きたかった。この暖かい腕で、痛いほど抱きしめて欲しかった。
その腕に抱かれているだけで、また痛み始めた身体と頭の痛みなんて嘘みたいに堪えられる。
「あの、わたし…どうして、ここに?」
「覚えていないのか?」
「はい…全く…お父さんの世界に…いた記憶が最後なんです」
お母さんに言われるがまま歩いたら、私はここにいた。
「いのりは屋敷の前で倒れていたんだ。それを見つけ部屋で寝かせた。廊下であったのは覚えているか?
「…あやふやですが…少し」
「そうか。あのあと、意識を失ったお前をまた部屋に運んだ。それからは、さっきも言った通り、三日間眠ったままだった」
そう、だったんだ…その間、グレンさんは傍にいてくれたの?
いや、きっといたんだろう。ベッドの下やテーブルに散らばっている書類の数々。
離れないでいてくれた事が分かった。
「あの…有り難う、ございました」
「当たり前だ。凄く心配したんだ」
心配…してくれたんだ。抱かれている腕から、それは十分過ぎるほどわかる。
「グレンさん」
「…ん?」
「会いたかったです」