二重人格神様~金と碧の王~

「そんな、こと…ない、から」

「なくない。現にこんなに弱っているじゃないか。何も出来なくて…本当にごめん」

小さな声で呟くグレンさん。その声は聞いたフェイランさんは黙って部屋を出ていく。

残された部屋には二人だけ。静かな沈黙が流れ、月の明かりが部屋を照らした。

見えたのは、彼の切ない表情。この顔を見るのは何回目だろう。わたしは、彼のこんな顔が見たいんじゃない。

「グレンさん…」

「ごめん…」

「謝らないでください。その…また、こっちに来てください」

そう言うと、グレンさんは躊躇う事なく私に近寄り、私の身体を起こす。そして背後から支えるように抱きしめ、布団をかけた。

耳元にあたる彼の胸板。ドクンと聞こえる心臓の音。この体勢が不思議と一番落ち着く。

何も出来ないと言うけれど、これで安心できる。

「いのり、起きるまでこうしているから、少し眠れ。吐いてばかりで寝てないだろう」

「…は…い」

「それと、もう何日も食べてない。神は食べなくても生きていける…半神もそうだが…覚醒したばかりだ…何か食べないのはよくない。あと、水も飲むんだ」

「…」

言われてみれば、もう10日以上も食べてないし、飲んでもない…っけ。

持ってくるって言われても断っていた。そんな気分じゃないから。それなのに、吐くのが不思議だ。

まぁ、胃液まじりだけど…
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