二重人格神様~金と碧の王~
お父さんにどちらかを選べ…って、言われたんだよね…。

それが、こんな事になってはいるけれど、大丈夫…なのかな?

「あの、グレンさん?」

聞いてみようか。そう、単純な考えだったと思う。名前を呼び、「ん?」と頷いた彼に言う。

「海鈴さんは…大丈夫なんですか?」

「…え?」

一瞬、グレンさんの声色が曇った。どうしようか。何を言おうか…そんな迷いを感じた声に不安になると彼は思いのほか落ち着いた声を出す。

「会いたいのか?前も、そんな事言ったな」

そう、だったけ?そういえば、そんなこともあった気がする。しぶしぶ、海鈴さんに変わってもらったんだっけ…。

「悪いけど…前のようには変われない」

「…?」

「あいつ、今…眠っているし…俺の時の記憶はない。戻っていのりがこんな事になっていたら混乱するだろ?それに、俺だって心配なんだ…譲りたくない」

少し抱きしめる腕に力がこもる。

「グレンさん…」

「アイツも俺だって分かっているけれど…いのりの口からそう言われるのは辛い」

「ご、ごめ…ん、なさい」

「いいよ。それより、寝ろ」

身体を左右に揺らすグレンさん。揺り篭に乗せられているような感覚に次第に眠気が襲ってくる。
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