二重人格神様~金と碧の王~
「海鈴の裏として生まれ…ずっと、あの暗闇に閉じ込められていた」

「……」

「どんなに喚いても、叫んでも、暴れても、自分自身を傷つけても出してもらえる事はなかった。扉の外にいるあのじじいに、辛く当たる事しかしなかった」

そんな事、シャカは知っている。彼らは異児だった。その噂は当然のごとくシャカにも届いていたからだ。


「成長して、俺が裏として生活をしていても、他者の目はとても耐え難い視線だった。だから誰も信じられなかった、信じたくもなかった…孤独でも良いって思っていたんだ。どうせ、裏としてしか生きられない、生きているようで、生きていない…そんな感覚だった」

「…そうか」

「海鈴が眠っている時、その腹いせに嫌な事も沢山やった。だが、海鈴は何も言わない。それが逆に腹がたった事もあった。そうして、長い時を過ごした。こうやって…俺は長い時間を生きていくんだって…思って…いたんだ。ずっと、裏として生きて、つまらないまま…誰にも、必要とされないまま…生きていくって、それでも良いと、思っていたはずだった…でも…」

「…でも?」


そう問い、シャカはグレンに近寄る。そのまま見下ろせば、グレンは言った。

「いのりと出会って…変わった」

「…」

「この、先が見えない世界に…小さな光が差し込んだ気がした」

シャカの目付きが少し変わった。どこか遠くを見つめ、そのまま唇を僅かに噛み締める。


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