二重人格神様~金と碧の王~
「アイツの事、嫌いだった。沢山傷つけたのも事実だ。それなのに、いのりは俺と正面から向き合おうとしてくれた、俺を、信じてくれた」

「…あぁ」

「アイツの笑顔にホッとして、泣き顔に困惑して、怒った顔には愛しさが芽生えてくる。こんな感情は感じたことなかったんだ。だから、わかった…いつの間にか、愛した女と、この果てしない時間を…いのりと共に生きたいと」

「…」

「いのりがいる事が、俺の生きる意味なんだ」

「…そうか」

「だから、いのりがいなくなるのは…困る。いのりには生きて欲しい」

「……」

「じゃないと、俺が困る…手放すのはもう…恐い」

グレンの言葉はとても重かった。だが、その言葉から彼女への熱い愛情がとても感じられた言葉だった。

人間からしたら、遠いむかし、どこかの男も同じような事を言っていた事をシャカは思いだす。

(…また、母子揃って同じ事を言わせるとは…)

「…仕方がないか」

ため息をはき、シャカはまた腕をくんだ。

自分の娘をこんなにも思ってくれる事がシャカは嬉しかった。彼女を愛せるのは…もう、自分しかいないと思っていたからだ。

< 484 / 513 >

この作品をシェア

pagetop