[完]バスケ王子に恋をして。
ーパチパチパチパチ……

歌い終えると葵と咲羅から拍手が……

「ちょっと!!恥ずかしい!!」
「ね?奈未上手いでしょ?」
「あぁ……」

そこいつの間に一気統合しちゃってんの!?

「奈未」
「ん?どしたの?」
「……これ事務所に聞かせてもいい?」

咲羅が持っているのはスマホで撮った私の動画。

「え!?なんで!?」

なんでそうなってんの!?

しかも何撮っちゃってんの!?

「歌上手かったから歌手にならないかなーと思って」
「へっ!?」
「何それ!!凄ーい!!奈未歌手になれるの!?」

いやいや、何勝手に話進めちゃってるの!?

「ってな訳でマネージャーに送る」

咲羅は勝手に動画をマネージャーさんに送った。

この時点で私の人生は変わった。



ー2年後……

「NANAさん!!この新曲はどのような曲になっていますか?」
「NANAさん!!今後の活動はどのようになるんですか?」
「NANAさん!!」

……私は日本を代表する歌手……NANAとなっていた。



あの後私は咲羅の所属事務所にスカウトされてまた東京へと戻ってきた。

もちろん大学も辞めて音楽一本で生きることにした。

東京に戻ってきてから翌年……

私は遂にCDデビューを果たした。

しかもそれが人気ドラマの主題歌だった為すぐに私の名前は有名になった。

……でも……

「NANAについてどう思いますか?」
「はやくも顔見せて欲しいよねー……」
「絶対美人さんだと思うんだけどなー……」

私は顔を出してない……。

顔はピンクの仮面をつけてTVでは全身を隠すように黒いマントを羽織っている。

トークも一切しない……ただ歌番組で歌うだけ……。

それが私……NANAの姿……。

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