[完]バスケ王子に恋をして。
「まだ……強くなってないから……」

私はいつもその答えからこうやって逃げてるんだ……。

「強くなるって何?何を強くしたいの?もう奈未は十分強いでしょ!?」
「違うよ!!私強くなるためだけにみんなから離れたんじゃないよ!!」

言って後悔した……。

このことは一生誰にも言わないつもりだったのに……。

「何それ……どういうことだよ!?」
「……」
「話せよ!!そこまで言ってごまかせると思ってんの!?」
「わかったよ……」

私は咲羅の言葉に折れて全て話すことにした。

「私春樹にまた会おうなんて思ってないから」
「……は?」

咲羅の声は怒りと戸惑いで少し震えている。

「最初からそう考えてた……もう一生会うつもりじゃないから」
「奈未は……もう春樹のこと好きじゃねーのかよ?」

好き……?

そんな感情……私には持てないよ……。

「好きなんて……言えない」
「何で……?まさか自分のせいであいつが幸せになれないとか思ってるんじゃないよな!?」
「……」
「マジ意味わかんねーよ……なら……何でもう一回付き合ったりしてんだよ!!ただ春樹のこと傷つけてるだけだろーが!!」
「わかってる!!……わかってるよそんなこと……でも……春樹が悲しむようなことさせたくない……」
「何言ってんだよ!!悲しむようなことってもう春樹のこと待たせて悲しませてんじゃねーかよ!!」
「違う!!……ただ……私はみんなから離れたいだけなの!!」

これが私の本音……。

いままでのこと全部……本当の理由はこれ……。

「本当はもう……いっそのこと外国に行って殺されたかった!!……でもパスポートだってないし……英語も喋れないし……本当はあんなところで咲羅にも会いたくなかった!!」
「……」
「私がいなくなればいいんだよ……だからNANAだって顔を出さない……出しちゃったら私がいきなり消えたら探すでしょ?私は大きな存在になりたくないの!!私の存在なんてなくなればいいんだよ!!」

ーパンッ!!

そういった瞬間甲高い音と頬に鋭い痛みを感じた。
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