[完]バスケ王子に恋をして。
「なら……存在なんてなくなればいいなんて言うなよ……」
「でも……私は「あいつはずっと待ってる」
「……え?」
「あいつは……ずっと奈未を待ってるから……大丈夫だ」

ニコッと微笑む咲羅。

「咲羅……」
「でも……まだ強くなるんだろ?うちはその日がくるまでずっと待ってるからな?」

私はなんていい友達を持ったんだろう……。

だから……私も強くならなきゃ!!

「咲羅」
「ん?」
「明日……社長に会えるかな?」
「会えると思うけど……なんでだ?」
「……私……仮面脱ぐよ」
「……え?」
「仮面脱いで……本当の自分を見せる……きっと期待には答えられないけどね」

私……美人じゃないから……。

「大丈夫だ……奈未なら」
「あと……家族には言うね?」
「いいのか……?言っても」
「うん……いままで迷惑掛けたから」
「そっか……」
「あと……春樹には内緒で」
「わかったって」

私の未来はいくらでも変えられる。

でも……自分がそこで立ち止まっていたら何も変わらないんだ……。

私は今日からNANAではなく……一人の人間……藤峯奈未になるんだ……。

ただ一人の……私に……。




_______翌日

「失礼します」
「おぉ!!奈未じゃないか!!どうしたんだ?」

この人は社長。

いままで何から何まで全部やってくれた私のお爺ちゃん的存在の人。

「大事な話があって……」
「そうか……まぁ座りなさい」

私は椅子に座って社長を見る。

「なんだい?話って」
「……私……仮面取りたいんです」
「……え?」

社長の顔が一気に驚きの顔に変わる。

「いいのかい?顔……見せても……」
「はい、私……強くなりたいんです……本当の私を知って欲しいんです」
「そうか……ならいいだろう」
「あと……」

思わずそこで言葉を詰まらせる。

「あと?」
「家族に私の正体を話そうと思います」
「家族に?……大丈夫なのかい?」
「わかりません……でも……私のやりたい道をしっかりと伝えます。いままで迷惑ばかりかけたので……」
「さすが!!私が見立てた子は違うねー!!よし、頑張ってくるんだぞ?」
「はい!!」
「それと……」
「それと?」
「仮面を取るのは……ライブではダメかい?」
「……え?」
「NANAの初ライブでファンへの気持ちとして……本当の姿を見せてみないか?」

でも……

「怖いです……みんな私を受け入れてくれるかどうか……」
「大丈夫!!自信を持って!!奈未ちゃんはこれから強くなるんだろ?試練を乗り切ってこそ強くなれるんじゃないかな?」

そうだ……!!

私は何を迷っているの……?

「そうですね!!ありがとうございます!!でも……ライブとか設定って……」
「大丈夫!!私に任せて!!最高のライブに仕立て上げるからね!!」
「はい!!ありがとうございます!!」

私の道はまだ始まったばかり……。

これから私は……強くなるために羽ばたくんだ……!!
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