恐怖短編集
「嘘だろ」


東夜は背中に冷や汗が伝うのが分かった。


「見ろよ!」


孝が声を上げ、病院に向けて指をさす。


その指の先を目で辿って行くと、建物の一番上に刻まれた十字の下に、病院の名前が書かれているのが分かった。


「清水病院……」


東夜と茂が同時に呟いた。


清水病院はこの街の駅前に建てられている病院だった、数年前までの話だが……。


その清水病院は不祥事が相次ぎ、ついにつぶれてしまったのだ。


今は取り壊され、空き地になっている。東夜は、そう記憶していた。


「気持ちわりぃ、行こうぜ」


軽く身震いをして、茂がそう言った。


「でも、なんで中に人がいるんだ?」
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