恐怖短編集
「わかんねぇよ。……でも、ここに一周して戻ってきてる」



「バカ言うなよ。真っ直ぐ歩いててどうやって戻ってくるんだよ」


イライラしたような茂の口調。


そして、茂は再び歩き出した。


大股に足を広げて、ポケットに両手を突っ込む。


「待てよ」


孝が茂にそう言うが、茂は振り返りもせずに歩く。


孝は一つ息をつき、その後を追った。


しかし、東夜はその病院を見上げたまま動かない。


「おい、行くぞ」


孝が立ち止まり、東夜の腕を掴む。しかし、東夜はそれを振り払った。


「悪い、先に行っててくれ」


そう言うと、東夜はその病院へ向けて歩き出した。


「おい!」


引きとめようとする孝に、「ほっとけよ」と茂。


「けどっ……」


孝は逆方向へ歩き始める茂と東夜を交互に見て、軽く舌打すると慌てて茂の後を追った。
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