恐怖短編集
他の長いすには大人子供関係なく座っているのに、まるでその椅子だけ目に入っていないかのように見向きもしない。


足の悪そうな患者もいるのに、その長いすの前でたっているのだ。


看護婦も、椅子が空いてないから、と言わんばかりにその患者を慰める。


東夜は首を傾げながら、エレベーターへと向かった。


今でもはっきりと覚えている、203号室。


行った事はないが、忘れた事だって一度もなかった。


すぐにエレベーターが来て、東夜は乗り込んだ。


他にも二人患者がいたが、下を向いていて全く顔が見えなかった。



エレベーターは、たかが一階上るだけなのに、やけに遅い。


東夜はイライラしながら階数のランプを睨みつける。



その時、一緒に乗っていた患者の一人が東夜の服を引っ張ってきた。


一瞬飛び上がりそうなほどに驚き、それから、それが子供だと分かると大きく息をついた。
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