ほどよいあとさき
そして。
式が終わったあと、経理部の部長が仲人となり、にぎやかに披露宴が始まった。
ホテルのウェディングプランの中から私と歩が選んだのは、オーソドックスな流れの披露宴。
ケーキ入刀やらキャンドルサービスやら、滞りなく順調に進んでいったけれど、唯一、歩が渋い顔をして舌打ちまでしたのが。
『新郎の職場の同期でいらっしゃいます、相模恭汰さまからのご祝辞をいただきます』
そんな紹介によって始まった、相模主任の約5分間のお祝いスピーチだ。
相模主任は、眉を寄せて睨みつける歩の様子を見越していたのか、にやりと笑いながらスピーチを始めた。
相模主任のスピーチの最中、歩は何度も席を立ってそれを止めようとしていたけれど、私が歩の腕に手を置いて押しとどめていた。
「ちゃんと聞こうよ。天下の相模恭汰のスピーチだよ。ありがたいありがたい」
小声で言う私に、歩は顔をしかめ、ふん、と視線をそらす。
そして、嫌々ながらも相模主任の言葉に耳を傾けた。