てのひらを、ぎゅっと。


は?俺は自分の耳を疑った。


心優がもう……登校できない…?


病状がよくない…?


ははっ、嘘だろ。


嘘だな、そんなわけないじゃん。


………嘘だよな…?


おそらく保健室の先生は俺がいることに全く気づいていなかったんだろう。


先生は反対側の扉にいる俺を見た後、担任とふたりで目線を合わせ、顔を焦りのいろに変えた。


…………俺はこの日、担任に本当の事実を聞かされた。


いや、俺が無理やり聞いた。


今聞いておかないと、いけないような気がして。


心優が、一人で泣いてるような気がして。


そして初めて知った現実。


それは………まだ中学生だった俺たちにとってはあまりにも過酷で、残酷すぎる現実だった。


ごめん、心優。


苦しい嘘をつかせて………つらい想いをさせて。


決めたよ、俺。決めた。


誰になんと言われようがかまわない。


今まで散々、中途半端なことしておいて最低だ、って罵られてもいいから。


俺にはこの人生を捧げて、守らなきゃいけない人がいる。


───心優、待ってて。


俺は最後まで、心優のそばにいる。


─────・・・。

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