魅惑のハニーリップ
「佐那子……笑ってるけどいいの? 宇田さん、披露宴でスピーチすることになってるけど?」

 そういえば……
 宇田さんはスピーチするって話していた気がする。
 佐那子さんと同期入社なのは、本社では宇田さんだけだから、スピーチを頼まれたのだとか。

 もう少ししたら、チャペルで式がとり行われて、そのあとに披露宴が始まるわけだけど……
 宇田さんはスピーチまでに間に合うんだろうか。

「そうねぇ。聖二にはスピーチ頼んであったわね」

「宇田さんがスピーチまでに来なかったら、どうするんだよ」

「仕方ないじゃないの、順番を先に延ばすか……なしでいきましょ。私から後で進行役の人と相談してみるから」

 少し困った表情の恭哉くんに対し、佐那子さんは余裕たっぷりにそう答える。
 こんなときでも動じない佐那子さんは、やっぱりすごい。
 恭哉くんだけじゃなく、私まで落ち着かずにドキドキしてるのに。

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