魅惑のハニーリップ
 私は一生かかっても、絶対に佐那子さんには敵わない。
 こんなに美人で性格もいい人なんて、絶対ほかにはいないと思うから。

 だから、いつまでも佐那子さんは私の目標だ。
 頼れる先輩で、憧れの女性。

「そんなに泣かないで。泣かせただろ!って、聖二に怒られちゃうわ」

 涙が止まらない私の背中を、佐那子さんがポンポンと軽く撫でてくれる。
 私は大きなブーケを両手に持ったまま、笑顔でゆっくりと佐那子さんに頷いた。
 
 チャペルでの式から少し時間があいて、今度は披露宴が始まる予定だ。
 会社関連の人たちは式には参列しなかったから、披露宴から出席という人が多い。

 披露宴会場をのぞき見てみると、大勢の人がすでに集まって歓談していた。

「宇田さん、まだ来ないね」

 普段あっけらかんとしている優子ですら、心配そうにそう呟いた。
 たしかにもうすぐ披露宴が始まる時間で、来賓がそれぞれ席につこうとしている。

 そんな状況の中でまだ来ていないなんて、かなりまずいのではないだろうか。

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