魅惑のハニーリップ
 翌日、会社に出勤すると優子が私のところに慌ててやって来た。

「宇田さん、大丈夫だったんだって?!」

 昨日のうちに、ちゃんと優子にはメッセージを入れておいたのに。
 軽い事故だったから、宇田さんは軽症で済んだと。

「メッセージを見たでしょ? そんな大怪我したわけじゃないよ」

「そうだけど。今日は宇田さん出社するって?」

「うん。午前中病院に行くって言ってたから、午後からだと思うけどね」

 昨日も宇田さんは、しきりに首を気にしていた。
 実は事故の影響で、少しムチウチの症状が出ているみたいだ。

 しばらく病院に通えば治るだろうと、宇田さん本人は楽観視してたけれど。
 私としてはやっぱりちょっと心配だ。

「ところで、遥かぁ~?」

 どうしたのかと思って優子の顔を何気なく見ると、妙にニヤニヤした顔つきだった。

「昨日、宇田さんが運ばれた病院に行ったってことは……」

「ん?」

「和久井さんとのデートはキャンセルしたの?」

 優子にはまだ、昨日の事故以外のことは報告していなかったような気がする。

 私が宇田さんに告白してしまったことも、宇田さんが私を好きだと言ってくれたことも。

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