魅惑のハニーリップ
「和久井さんとはカフェで会ったけど、すぐに宇田さんの病院に向かったの」

「そっか。“後悔のないように”行動したんでしょ?」

「……うん」

 あの時優子は電話口で言ってた。とにかく“後悔のないように”って。
 やっぱりあの時は、病院に向かって良かったのだ。
 行ってなかったら確実に後悔していたと思うから。

「で?」

「え?」

「どうなったかって聞いてんの!」

 心底興味津々といった感じで、優子は私の顔を覗き込む。

「私から宇田さんに告白しちゃった。……思いが溢れた感じで」

「うん」

「で、OKしてもらっちゃった。付き合ってもらえるみたい」

 私が言い終わるのと同時に、優子がガバっと抱きついて来る。

「やったね、遥! やっぱりお互い両思いだったんだー!!」

 あからさまにそう言われると、頬が赤らんできてしまう。
 たしかに両思い、だったのだけれど……
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