魅惑のハニーリップ
「は? 佐那子さん? 遥、アンタねぇ、いくらなんでも佐那子さんは無理でしょ」

「あはは……だよね」

「そうだよ。目指すとこが高すぎだって!」

 そう言われるのも無理はない。
 佐那子さんみたいになりたいってことは、モデルになりたいって言ってるのと同じだもん。
 私には到底無理な高いハードルだ。

 佐那子さんは、どうやったらあんなスタイルになったのだろう?
 同じ女として不思議で仕方ない。

「それに、別にいいんじゃないの? 現状維持の体型なら」

「え?」

「佐那子さんはたしかに綺麗だけど。宇田さんだって今の遥がいいって思ってるはず。だったら別に太らない程度に食べてもいいんじゃない? 佐那子さんと遥は、違う人間なんだからさ」

 別に、佐那子さんを意識してるわけじゃないの。
 もちろんライバルだなんて滅相もない!!
 最初から敵う相手じゃないんだから。

 ただ、佐那子さんは私の中で、あんな風になりたいなって憧れる存在なのだ。

 でも、優子の主張もわかる。
 私は私らしい魅力で、宇田さんに気に入ってほしいとは思っている。

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