魅惑のハニーリップ
「そこは強がらなくっていいって。俺といれなくて寂しいって正直に言ってくれていいんだよ。てかさ、本気で寂しくないの?」

 宇田さんが冗談っぽく、おどけた表情に変わっていく。

「そ、そんなの……本当は寂しいに決まってるじゃないですか!」

「ははは。だよね」

「私、お昼いただいてきます!!」

 宇田さんは機嫌よさそうに笑っていたけれど。
 私はなんとなく恥ずかしくなってしまい、そこから逃げるようにお弁当をもらいに休憩室の方向へ走り去った。

 休憩室に行くと、聞いていたとおり、お弁当が用意されていて、スタッフが大勢昼食をとっていた。
 私もそこで慌しく詰め込むように昼食を済ませる。

 この仕事さえ終われば、少しはプライベートで宇田さんと会えるだろう。
 そう思うと、自然と仕事もやる気が出てくるから不思議だ。
 私ってけっこうゲンキンだな。

 時間ギリギリでバタバタするのは好きじゃないから、お昼休みもそこそこに、少し早めに仕事に戻ることにした。
 宇田さんもいたらいいなぁ……なんて期待しながら。

 言葉は交わせなくても、同じ空間にいたいと思ってしまう。
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