狼系王子とナイショの社内恋愛


「……なに? 金子さん。見られてると食べにくいんだけど」

耐えきれずにそう言うと、金子さんは尚もじっと見つめてから呟くように言う。

「なんか先輩と結城さんって結構お似合いかもーとか思って」
「……は?」
「元々先輩の事可愛らしい人だなーとか思ってたんですけど、個人的には佐々山課長みたいな落ち着いた人とお似合いかなって思ってたんです。
でも、案外結城さんとも……」
「失礼でしょ、課長にも結城さんにも」

佐々山課長の名前が出てきて、嫌なドキドキが増す。
ダメだこの子。本当にそっち方面のアンテナが優秀すぎる。

早い事この話題はやめようと思ってそう言ったけれど、金子さんはやめる様子はなくて。

「結城さんって、派手な感じの美人とばっかり噂になってるけど、そういうのってビジュアル的にどうなんだろうなって思ってたんですよね。
なんかこう、結城さんは気取らない美形なのに女側が作りすぎてるっていうか」

顔をしかめる私に、金子さんの力説は続く。





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