狼系王子とナイショの社内恋愛


それだけでゾクゾクとした感覚が背中を走り抜けて身体が震えてしまって。
恥ずかしくなって顔が熱を持ったのが分かった。

もっとも、キスされた時点で身体中が熱を持っていたから、そんなの今更だけれど。

ゆっくりと目を開けると、まだすぐ傍にいる結城さんと視線が重なる。
その瞳は色っぽく濡れながらも、どこか寂しく感じて……キスする前、結城さんが言っていた事を思い出した。

あれは、名前で呼んでって意味だったんだろうかと、ぼやけてる頭で考える。

「大智……」

大智さんと呼ぶべきか、大智くんと呼ぶべきか。
そんな疑問が一瞬浮かんだけれど、気付いた時には結城さんの名前を呼んでいた。

呼び捨てで呼んでしまったからか、それとも急に名前を呼んだからか。
結城さんは驚いたように目を少し見開いた後、表情を緩める。

優しく、困ったように。

「今呼ぶのは反則でしょ。
……止まらなくなる」

苦笑めいたささやきでそう言われて、すぐに視界が反転した。
それは結城さんに押し倒されたからで……戸惑いながら見上げる先で、結城さんは苦しそうに顔を歪めながら微笑む。



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