こっち向けよ
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「ご無沙汰しております、会長。」
本邸のお祖父様の書斎の一歩手前にある客間で、パパのお辞儀に合わせてママと私も頭を下げる。
「ん、久しいな、工。」
光沢のある生地に金の刺繍が施された一人掛けソファにドカリと腰掛けているお祖父様は、立っている私たちを、眉間に皺を寄せつつ目を細めた。
「お前に社長の座を明け渡し、会長になってから今まで四年の月日が経つな…」
「はい…」
目の前にはお祖父様と向き合う形の三人掛けソファがあるのに、座ることを良しとされない。
静かで、お祖父様から重圧をかけられているとバカな私でも解るようなピリピリとした空気。
「この四年の間、一度も呼ばれることはなかったお前が、なぜ今この場所に居るのか、わかるな?」
「はい、存じ上げております。」
この空気…足がガクガクしてくるほど、重い。